「盗むひと」とは誰のことなのか――『盗むひと』とデュラスの関係

【以下は配布リーフレットに記載したものと同内容です】 *** マルグリット・デュラスによる盗難  冒頭で真っ白なスクリーンにマルグリット・デュラスという名が黒字であらわれた瞬間から予想がつくように、『盗むひと』はデュラス […]

続きを読む
イザベル・ユペールのインタビューを読み、聞く

【以下は配布リーフレットに記載したものと同内容です】 ***  イザベル・ユペールのインタビューはいつも興味深い。知的な彼女の発する言葉のどれもが真理を捉えているようで、迷いがないからだ。『レースを編む女』と『ヴィオレッ […]

続きを読む
「フランス映画と女たち」上映の意図

【以下は配布リーフレットに記載したものと同内容です】 ***  「フランス映画と女たち」と題された本企画が扱うのは、いずれも、これまでに十分な上映機会にめぐまれなかった作品たちである。しかし、三本とも旧作であるために、「 […]

続きを読む
リンダ・レ『キャリバンのコンプレックス』――翻訳で読めないフランス小説4.

 読書家は誰だって、想像上の書物について思いを馳せたことがあるはずだ。子供の頃、まだ読んだこともないし、読むこともできない本の背表紙を前にして、未知の物語が込められた魔法の壺が並んでいるかのように考えていた。そうした思い […]

続きを読む
エドゥアール・ルイ『ある女の闘いと変身』――翻訳で読めないフランス小説3.

 子どもの時、母親が学校での面談に参加しないように手を回していた。他人に自分の母親を知られるのがいやだった――そんな感情の想起から始まる小説だ。前回取り上げた同作者の『誰が僕の父を殺したか』は作家の父親について語ったもの […]

続きを読む
エドゥアール・ルイ『誰が僕の父を殺したか』――翻訳で読めないフランス小説2.

 文学界のグザヴィエ・ドランとでも言える新星がフランスに登場した。男性同性愛者を取り巻く社会状況を、スタイリッシュな文体で記す91年生まれのその作家の名は、エドゥアール・ルイという。  21歳で『エディーに別れを告げて』 […]

続きを読む
「『ル・モンド』使用法」――翻訳で読めないフランス小説1.

 『ルビー・スパークス』という映画がすこし昔にあった。その映画は、スランプの作家がタイプライターで描写した女性が実際に目の前に現れてしまうという話なのだが、このタイピングすると現実になってしまうという設定は、ちょっと難し […]

続きを読む